生きる技術 番外その4 新緑の季節の清清しさと憂鬱

生きる技術 番外その4
新緑の季節の清清しさと憂鬱

5月の木々を渡る風は新緑をきら
めかせ、緑の風と呼びたくなりま
す。
光あふれるこの季節、青い空に白
い雲も表情を添え戸外にいるのが
心地よい時も多くあります。
けれど暑く汗ばむ時があるかと思
うと、冷たい風にさらされたりもしま
す。
冬と夏がせめぎあい、光と影、熱
と冷、陽と陰が交錯します。
野菜も端境期。
身体を温める滋養たっぷりの冬の
野菜と、身体を冷やし鎮める夏の
野菜が入れ替わります。
何をたべていいかよくわからない
この季節には、食べ物だけでなく
私たちの身体の中でも葛藤があり
ます。
言葉にすると面白くなくなってしま
うのですが、空が青いのは空気が
青い光だけを吸収せず反射する
ためです。
そのため紫外線は四方八方から
やってきます。
そして新緑の植物の葉は赤だけを
吸収し、あとは反射するので、余計
に紫外線が強くなります。
私たちもまだ強い日差しになれて
いません。
そのためこの季節は意外なほどに
眼が疲れやすくなります。
眼の疲れは迷走神経を緊張させ
全身の疲れとして感じます。
また乾燥やほこり、花粉などのため
気管に負担がかかり咳がでやすく
なります。
私たちが魚類から進化する過程で
横隔膜などの呼吸器の筋肉が足
りなくなり、顔の筋肉を無理に胸に
持ってきました。
そのために神経が首を通って迷走
するので迷走神経と名づけられま
した。
首という細くて制約のある場所を
通っているため、温度の変化や風
などの影響を大きく受けます。
目の疲れや気温の大きな変化の
ため、迷走神経が緊張し呼吸器に
負担がかかります。
私たちは食べなくても一週間以上
は生き続けられ、水を飲まなくても
3日ほどは持ちますが、空気を吸
わなければ5分と持ちません。
呼吸器の疲れはとても体調に
影響します。
呼吸器が疲れていると酸素の吸
収が悪くなり、何事もめんどくさく
なり、睡眠をとっても疲れが抜けま
せん。
そのため余計に疲れが蓄積して
悪循環におちいります。
気分が暗くなり、頭も働かず、何事
にも不精になった状態、それが
五月病とか、欝とかいわれている
ものです。
外で楽しみたくなる気候と内なる
沈んだ気分の両極端がこの季節
の特徴といえるでしょう。
まだ冬に溜めこんだ老廃物の処
理も完全には終わっていないこの
時期、肝臓や腎臓のケアをして冬
の疲れをとると同時に、夏へ向か
い代謝を上げ雑菌などへの免疫
力を高めていかなければならない、
とても微妙で難しい季節です。
沈みがちになる気分と、内にもた
げる荒々しさのどちらにも加担せ
ず、静かに遠い目をして季節のう
つろいを楽しむのが、この季節の
大人の過ごし方でしょう。
パソコンやテレビ、スマホの画面を
みる機会をできるだけ減らして眼
を休めます。
目薬で疲労感を誤魔化せば、疲
れはますます溜まり偏頭痛や呼吸
器などのトラブルに至ります。
眼の疲れをとる方法としておすす
めなのが、温湿布です。
熱くしたタオルで眼とこめかみを
覆い、20分ほど横になって眼と全
身を休めます。
ボール等に熱いお湯を用意して
おき、何度か絞って温度を維持し
ます。
自分でやっても効果はありますが、
誰かに協力してタオルをしぼって
もらった方がより効きます。
これはこの季節の疲れだけでなく、
日常的にパソコンに長く付き合わ
ざるをえない人たちにも有効です。
現代では5月の躁と欝がせめぎあ
う状態が、日常的に続いていると
いってもいいのかもしれません。
テレビからまき散らされる意味の
ない明るさや元気さは、かえって
半面の闇や暗さを増幅しているで
しょう。
眼の疲れの根と影響は意外なほど
深いものがあります。